花のお江戸で粗茶一服

昨年の暮れにAEさんからまた新刊本を頂戴した。
粗茶一服シリーズの3作目『花のお江戸で粗茶一服』です。
一応完結篇らしい。

それにしてもこのところ彼女はメディアへの露出が多い。
彼方此方の新聞や雑誌に写真付きで新刊紹介されてるし、
先月号の『あまから手帖』にも出てたし、今月号の『淡交』にも寄稿してはった。

いや待てよ。
デビュー作で「海燕新人文学賞」を取り、次作で「芥川賞」を手にした人や。
ばりばりの純文学作家がエンタメ青春小説でヒットしたんやから、
私が知らんだけで今までも彼方此方で露出してはるんかもしれん。



さて今作の話やね。
前作の『風にも負けず粗茶一服』から7年経ってる。
けど物語の中では時間が飛ぶこともなく、続編と言うかそのまま読み続ける感覚。
1作目の『雨にも負けず粗茶一服』の主人公遊馬は18歳。
2作目の『風にも負けず粗茶一服』では19歳。
今回の3作目は20歳の秋から、どんどん進行してっておよそ5年間の物語になる。
これまでの舞台は京都やったけど、実家の東京に戻ってからのお話。

111111111111.jpg ポプラ社/2017-10-31

「坂東巴流」は武家のたしなみとして茶、弓、剣の三道を伝える。
この「三道帰一」の教えを体現するべく修行を重ねる主人公の姿を描く。

架空の流派であるはずの「坂東巴流」の設定が素晴らしい。
その代々の歴史、精神性、独特の考え方から稽古法に至るまで詳細にわたる。
ほんまに存在する流派のような気がしてくる。

昔MLの仲間内で「坂東巴流」の茶会開催てゆう「怪挙」があって、
その時に頼まれて坂東巴流の灰型を考案したんやけど、今はつくづく恥ずかしい。
裏千家流灰型のやり方で形を変えただけ、安易で浅はかな代物やった。
せめて武家茶道の幾つかの流派の灰型を参考にするべきやった。



私としてはやっぱり茶会の描写に最も興味を惹かれる。
「本返しの茶事」はどれもドタバタしてるようで本質を見つめて凄く静謐な雰囲気。
いやあ、流石に巧いなぁ。
AEさんは彼方此方の茶事茶会に客として出向いてはる。
名だたる茶会にも参席するし無名の茶人の茶事にも行く。
そんな数多の経験が活かされての、この展開なんやろなぁ。
私なんかの弟子でいてくれはって、ええんやろかて思う。



さてさて登場する人物は結構多い。
主人公の遊馬はもちろん、それぞれの人物像もきちんと描き込まれてる。
そんな緯糸の挿話の彼方此方で涙腺が緩んでしゃあない。

遊馬は警備員のアルバイトを始め、新しい電波塔の建設現場に派遣される。
その名称が「東京スカイツリー」に決まり、着工、杭打ちを経て次第に姿を現してく。
少しずつ上へ上へと伸びていくのに連動して話が進む。
これが遊馬の心境の変化と成長に重なってて、またまた流石やなあと感心する。

そしてクライマックスに東日本大震災。
著者が幼少期を過ごし今も故郷とする福島を襲った未曽有の災害。
以来もうすぐ丸7年を迎えようとする時に本書は上梓された。
これは何としてもストーリーに欠かせへん転回点やったんやろうと思う。



帯に書かれた文言にも驚かされた。
武者小路の次期家元、千宗屋氏による推薦文やん。
曰く「茶の湯だけでも奥深いのに…他人事にも思えない本書です」
AEさんに聞いたところによると彼は、
全部読んでみいひんことには何も書けへんて言うて、
激務の合間を縫って3部作全部を読み通した後で、やっと書いてくれはったらしい。
それを聞いて私はいっぺんに彼のファンになった。



しかし今回もまた読了まで随分時間がかかってしもた。
三分の一ほど読んだ頃かな、インフルエンザで寝込んだ所為で中断した。
回復した後も読書の気分になるには時間がかかった。
読みたくなった頃には初釜が始まり、
初釜が済んだら今度は確定申告に右往左往。
前回と違うて単純に読み続ける機会を失くしただけやったけど、
こんなに面白い本やのに、読み終えるまで4か月もかかるとは思わへんかった。



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