水指の蓋

大学茶道部での稽古で立礼、御園棚の点前を教える際なんやけど、
水指の蓋は右側に立てかけるように指導してる。
ツイッターで稽古風景を流したところ他大学の学生から質問があったらしい。
先生から左側に立てかけるように習ってるけどどうなん?と。
私の持論を説明しといたけど、折角やからちょっと調べてみた。



予想外やった。
殆んどの事例が立て掛けることなく、三手で斜め手前に伏せて置くとある。

立礼やと華やかで派手なデザインの水指を選ぶ傾向がある。
そんな水指はたいてい摘みが大きくて、立て掛けて置くのが難しかったりする。
例えば砂金袋のように、本体の形が普通やなくて立て掛けにくい水指も多い。
それに立礼棚は多くの場合真塗やから滑りやすくて蓋が倒れる。
野点やったりしたら風で倒れることも十分ありうる。
そやから伏せて置くのは至極合理的で納得でけるんやけど、
それはあくまで危険を避けるための働きの手続きやと思う。

そう、今考えるべきなんは右と左とどちらが正しいのかてゆうこと。



裏千家学園の三年生の時に、石清水八幡宮献茶の添え釜で御園棚を使ってる。
その時に業躰さんから指導された筈やねんけど、残念ながら記憶にない。
ほな何で今の教え方を選んだんかて言うと、論理的に考えて導き出した答えやね。

かなり以前はどうやらほとんどが右派やった。
主婦の友社が昭和41年に発行した『茶の湯裏千家』の写真がこれ。

IMG_1123-0000000000000.jpg

しかしその後だんだん左派が優勢になり現在は9割がた左側の写真しかない。
初出はおそらく『淡交』誌のお点前解説シリーズやないかな。
昭和57年5、6月号に載った『春秋棚薄茶点前解説』の記事からこの写真を。

IMG_5356-0_20161220234457382.jpg

業躰さんのお点前が写真付きで『淡交』に載ったら、
それこそが正しい手順やと誰もが判断し踏襲するのは当然なわけで。
普通の風炉の点前と全く同じやねんから戸惑うこともないし。

しかしどっこい右派が死んでしもた訳でもない。
平成13年に発行の淡交別冊愛蔵版『立礼で茶会』にこの写真を見つけた。

IMG_5355-0_201612162330337f3.jpg

この本には右派と左派と平置き派の3通りの写真が載ってる。
結局どれもあり、ってことなんやね。



さて水指の蓋の立て掛け方には決まりがある。
行之行台子以上の点前は特別に行と真の方法があって除外して。
それ以外のすべての点前、風炉でも炉でも逆勝手でも通じる約束です。
「蓋は表を上座に向けて下座に置くこと!」

その上座下座が問題なんやけど。
簡単に言うてしもたら正客の方向が上座と思うといたらええ。
普通の点前やと客は基本的に自分の右側に居てはるから当然蓋は左側やね。

けど御園棚を始めとする立礼棚の場合に客は何処に居てはる?
そう、お点前さんの正面に居てはる!
さあ、どっちが上座やろか?



今ちゃんと考えたよね?
そう、普通に考えて亭主から見て左側が正客、その右に順次連客が並ぶ。
つまり上座は点前から見て左側、蓋は下座の右側に置くのが正解や。

当然やけど、もしも下座床形式にしてお点前さんから見て右側に正客座を設定したら、、
下座は左側になるから蓋は表を右に向けて左側に立てかけなあかんことになる。



判って貰えたやろか。
ごく普通に立礼席を設営した場合、蓋は右側に置くことになる。

実を言うたら、ブログの読者はそおゆう点前をちゃんと知ってる筈やね。
そう、炉の流し点て。

お点前さんの正面に客が座ってて、正客はたいてい左側。
そやから、蓋は表を左に向けて、下座である水指の右側へ立て掛ける。

IMG_7288-0.jpg

この置き方が立礼棚での水指の蓋の置き方の正解やと私は思う。



にほんブログ村 その他趣味ブログ 茶の湯・茶道へ
にほんブログ村 ← 当たり前やけどこれは私の考え方。皆さんは師の教えに従うように。

スポンサーサイト

テーマ : 茶道
ジャンル : 趣味・実用

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

No title

なるほど、すっきりわかりました
ありがとうございました

Re: No title

ファンさん、コメントをありがとうございます。

同意を頂き嬉しいです。
考えながら点前したらあかんてよく言われるけど、
考えへんかったら理解するんは難しいです。
理解でけた時点できっと点前は変わると私は思いますよ。

なるほどです。

お点前の手順には理由があるんですね。

床の間の前が正客ですから
下座床なら正客は右側ですね。
つまり下座床の茶室で炉の流し点をしたら
蓋は左側に置かないといけない訳ですか?

Re: なるほどです。

茶道6年生さま、ようこそ。

> つまり下座床の茶室で炉の流し点をしたら
> 蓋は左側に置かないといけない訳ですか?

そうはならへんのですよ。
流し点は4畳半以上の広間でしかでけへん約束です。
4畳半以上で下座床の茶室やと初座は確かに床前が正客です。
けど後座のお茶の時は釜付きが正客に席順が変化する決まりです。
つまり点前の際の正客は必ず左側に居てはります。
それに流し点で左に蓋を置いたら茶碗を出すのに邪魔やん。
プロフィール

楽水

Author:楽水
ようこそお越し下さいました。
ごゆっくりお過ごし下さい。

カテゴリ
教室お問い合わせはこちらから

名前:
メール:
件名:
本文:

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
最新トラックバック
にほんブログ村参加中
にほんブログ村に参加しています。 よろしければこちらをクリックして下さい。
にほんブログ村 その他趣味ブログ 茶の湯・茶道へ
にほんブログ村