幻庵

息子が幼い頃、僕の父さんは名前が沢山あるんやで、と友達に自慢してた。
自慢の種になるメカニズムはちょっと判らへんけど、確かに名前は一杯ある。
もちろん犯罪に関わる偽名とはちゃうし、スパイなんかともちゃいますよ。

本名の他に裏千家から戴いた「宗正」の茶名。
少しだけ齧った華道の山村御流で頂戴した名前。
大学生の時に漫画を描いてた頃使ってたペンネームが確か3つほど。
俳句を始めてから使い始めてそのまま彼方此方で使ってる「楽水」の雅名。
それからインターネットをやり始めた時に作ったハンドルネーム。
そしてもうひとつが「幻庵」てゆう茶室の名前。



自分の茶室を持ったら、その茶室に付けた名前がそのまま本人の名前にもなる。
「…庵」だけやなく「…斎」「…室」「…窟」「…楼」「…軒」と何でもあり。
一番有名なんが宗家にある重文茶室、一畳台目「今日庵」がお家元の名であること。

そんなたいそうなもんやないけど、「幻庵」は私が考案して私が名付けた茶室。
有名な茶室の寸法を調べ倒して参考にして、
自分の身長体格に合わせて設計した。
当時はまだ学生で、私が出資したのはごく一部やったから、
施主である父からもっと削れと命令されたら仕方ない、かなりの部分で妥協した。
それに大工さんが茶室建築初体験で試行錯誤。
そんなんでけへん、て言われたらまた妥協案を出すしかない。
けど随分と無理を聞いてくれたところもあり、満足のいく茶室になったと思う。

シンプルな3畳間で廻茶道口。
「野崎幻庵」も意識にはあったけど、変幻自在が名前の由来。
普段は上がり台目出炉で使ってたけど、向切にも隅炉にもなるように切っといた。
間口一間の障子を外して廊下の一畳を取り込んだら4畳の茶室になる。
隅炉の構えで客を招いたことが一度もなかったんが無念。



お盆前の山の日に許状引き渡しの茶会を催した。
准教授に昇格したGTさん、茶名を拝受したOHさん、行之行、圓草、引次のOSさん。
3人のうち2人は半月前の「真之行台子」引き渡し茶会に客で参加してるので、
でけたら設えも道具も重ならないようにしたい。
どうせやったら小間の茶室「幻庵」の使い納めをしたい。
普段は倉庫と化して足の踏み場もない茶室を必死で片付けた。

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躙り口から入ったら床には喝堂老師の横物「喫茶去」が目に入る。
実際は軸前に松の絵の盆に許状を載せて飾っておいた。
それぞれに許状を引き継いでから点心を供する。

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木地折敷に奈良絵の小向付を載せて蛸のマリネと防風。
焼き魚と、茄子とオクラの揚げ浸し、白和え、ご飯と漬物。
珍しい形の皿はフランスで家内が見つけてきた骨董品。
ごくごく小さいビードロの杯もフランス製。

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四季七宝蒔絵煮物椀には、枝豆真薯と車海老に青柚子を吸口に。

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八寸は鶏肉の野菜巻きと胡瓜の浅漬け。
本当は南瓜の炊いたんを前夜に用意してた。
朝に冷蔵庫から出して昼まで戻さへんかったんが原因で傷んでしもた。
他に使える食材がもう胡瓜しかなかったという失敗。
ただ味の取り合わせとしては南瓜より良かったように思う。

酒は初夏の頃にKMさんの岡山旅行土産で頂戴した白ワイン。
倉敷産のマスカットオブアレキサンドリア100%でとっても香りがええ。

主菓子は写真を撮り忘れたけどパイナップル入りの大福餅。

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さて、中立の後は軸を巻き上げて花床にする。
中釘に加茂川籠を掛けて宗旦木槿を一輪。

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点前座には唐銅面取風炉に遠山の灰型、浜松地紋の筒釜を掛ける。
水指は知人に譲ってもらった骨董品で、その人が言うには結構ええもんらしい。
いつの時代かも何処の焼物かも判らんけど、緑の釉薬が美しい手桶です。

IMG_6945-0.jpg

茶入は赤楽の肩衝で仕服は金剛金襴。
茶碗は高麗の小井戸。
松花の昔でたっぷりと濃茶を練る。

続き薄茶にして干菓子は琥珀と林檎蜜煮。

IMG_6944-0.jpg

柑子形棗は表朔の塗なんやけどどう説明したらええのか難しい技法。
私は勝手に荒磯棗と呼んで使うてる。
茶杓は大道老師の作で苔清水の銘がある滲み竹。
薄手の備前焼茶碗は楽斎の作です。

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使い納め!?

先生、お宅手放してしまわれるのですか! 幻庵の使い納めとはびっくりです。
あんな素敵なお住まい、先生ご夫妻が住まわれたらよろしいのに……。
来年の初釜も、もう幻庵ではないということでしょうか。寂しいことです(T-T)

しかしそういうことでしたら、いっそ京都にいらっしゃるというのはいかがでしょう!

Re: 使い納め!?

はい、申し訳ないけどそうなんです。

> あんな素敵なお住まい、先生ご夫妻が住まわれたらよろしいのに……。

おおきに。
私も当然そのつもりでおったんですけどね。
自分の甲斐性無しが情けないです。

> しかしそういうことでしたら、いっそ京都にいらっしゃるというのはいかがでしょう!

週2~3回、多い時は週5回京都に通ってるから、それもありかなぁ。
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